メルマガ「ガラス張りの政治」⑧ 子どもの貧困対策推進法案が成立

掲載日:2013.06.20

昨日の本会議で、「子どもの貧困対策の推進に関する法律案」が成立しました。この法案の骨子は、「生活保護に至る前の段階の自立支援策の強化を図るため、生活困窮者に対し、自立相談支援事業の実施、住居確保給付金の支給等を行うための所要の措置を講ずる」というものです。   この法律の目的は、貧困の状況にある子どもたちの健やかな成長、教育の機会均等などを図ることです。そして、子どもたちが夢と希望を持って生活することができる社会の実現を目指します。   実際のところ、日本の子どもの貧困状況はどうなっているのでしょうか。ユニセフによりますと、日本の子どもの「相対的貧困率」は2009年時15.7%で、OECD35ヶ国中9番目、先進20カ国中ではアメリカ、スペイン、イタリアに次いで4番目に高い貧困率です。片親の家庭に限定すると、50%を超えます。また、日本の貧困な子どもたちは約305万人。先進国では、およそ10人にひとりが日本の子どもとなります。   驚くべき数字ですが、単なる数字のマジックで実際はそんなことはないだろう!と思う方も多いと思います。この「相対的貧困」とは、「社会において当たり前と思われていることをするのが困難となる生活水準」です。決して生きていくことが難しいほどの窮状ではありませんが、友達と遊ぶ、学校に行く、学校行事に参加する、家族旅行をする、といった「ふつう」の生活ができない状況です。標準所得の半分以下しかない世帯を相対的貧困と定義されています。   休みの日にお友達同士でお出かけしようと思っても、子どもを遊びに行かせるほどの金銭的ゆとりがない、金銭的理由で修学旅行に参加できない、いつも同じ服を着ている、毎日お風呂に入れない、などの例が挙げられます。このような状況ですと、いじめに遭ったり、他人の目を気にするなどで、不登校になってしまうこともあり、子どもにとって、まともな学校生活を送ることができません。   また、子どもの学力は、親の所得に比例するとまで言われています。大学などの高等教育への進学も所得と関係しますし、学習塾へ通わせられるかも、そうです。そしてそれは、大人になってからの就労や収入にも影響し、相対的貧困の中で育った子どもの、そのまた子どもたちも貧困状態になってしまう「貧困の世代間連鎖」に陥ってしまいます。   それでは、日本は今まで、どのような対策を採ってきたのでしょうか。   市場を通じて配分された所得の格差を是正する「再配分機能」というものがあります。税金や社会保険料を国民から徴収し、社会保障として国民に給付するということです。ユニセフによりますと、この「再配分前」と「再配分後」の貧困率を比較した場合、日本は下から3番目で、「再配分前」も「後」もほとんど変わらないという状況です。それどころか、以前には、むしろ「再配分後」に貧困率が上昇したときさえあります。これは、日本の社会保障制度に問題があります。社会保険料は誰からも徴収されますが、日本の社会保障の給付は、年金や医療へがほとんどで、主に高齢者への給付に回され、子育て世代には児童手当以外には還元されていません。   日本は「未来への投資」が非常に遅れています。子どもの貧困対策推進法案が成立はしました。しかし、これだけではまだまだ足りません。もっともっと、子どもたちの未来のために力を注ぐ必要があります。そしてそれが、輝きのある日本をつくることに繋がっていくのです。