長浜博行です。
ただいま議題となりました政府のアスベスト関連法案につきまして、民主党・無所属クラブを代表して質問をいたします。(拍手)
私どもが安全国会と位置づける第百六十四回国会が幕をあけ、いわゆる本会議登壇物の第一弾です。
アスベストによる健康被害は、国民の生命にかかわる極めて重要な問題であります。国民の健康と安全を守り、環境汚染を防止するためにも、緊急かつ迅速な対応が必要なことは言うまでもありません。傍聴席で痛みをこらえながらお座りいただいている被害者、御家族、御遺族の皆様には恐縮でありますが、同僚議員におかれましては、水俣病や薬害エイズ等々の悲劇を想起していただきながら、アスベスト問題で総合的対策の必要性を訴え続ける私どもの考えをお聞きいただければ幸いです。
これまでの政府のこの問題への対応は、各省庁が縦割りかつばらばらで、国民に積極的に情報を開示し、意見を求め、問題を共有するという姿勢が欠落していたと断ぜざるを得ません。政府が国民の血税を使い、情報収集、分析を行いながら、今日及び将来長きにわたってアスベスト被害を招いた責任は厳しく問われなければなりません。
政治は結果責任とも言われます。では、行政においての経過、プロセスはどう考えるべきでしょうか。事なかれ主義とセクショナリズムの結果としての経過におけるなさざるの罪、すなわち行政の不作為を明らかにしなければ、苦しみに耐えながら療養生活をされている方々はもちろんのこと、あえて申し上げれば、何も知らず、知らされることなく亡くなられた方は浮かばれません。アスベストは使用状況が広範に及んでおり、今後の処理方法がずさんであれば被害はさらに拡大するのです。
民主党は、昨年の特別国会に、国、地方公共団体、事業者の責務を定め、国民とともに一体となってアスベスト対策に総合的に取り組むための基本的枠組みを定める、アスベスト総合対策推進法案を政府に先駆けて国会に提出してあります。
一方、年が明けて、それも今国会開会日に政府から提出されたものは、私どもの総合対策のほんの一部分を取り出し、形ばかりのお見舞いをするにすぎず、とても対案とは言いがたいものであります。
政府の言う新たな救済制度は一体何を救済しようというのでしょうか。被害に遭われた方々の基本的人権なのでしょうか。それとも、強固な官僚組織の無責任体制の維持なのでしょうか。
ここで、るる述べてきたことに関する具体例を挙げましょう。
たまたまアスベストを扱う工場のそばに住んでいただけで、何の落ち度もない人の命の代償として総額三百万円というのは、余りに、余りに低過ぎ、不十分ではないでしょうか。昨年六月二十九日、被害の状況を情報公開した東証一部上場企業は、労働者の被害で三千万円を超える上積み補償を行ったり、周辺住民への救済を実施しています。しかし、資金力のない中小零細企業や、廃業、倒産した企業などのケースでは、被害者は事実上この三百万円で泣き寝入りでございます。
さらに、職業上のアスベスト健康被害により労災補償を受ける人とそれ以外の方々のさまざまな格差が歴然であり、政府がうたうすき間のない救済にはなっておりません。実際に給付を受ける被害者に、工場の内と外と壁一枚隔てただけで、死に至る原因物質が同じにもかかわらず、命の値段に差があることをどう説明するのでしょうか。足らざるを憂うのではなくて、等しからざるを憂うという人もいます。救済は急務でありますが、苦しんでいる人の立場に立ち、誠実に対応する内容でなければならないと考えます。
別の観点からも、本法案のスキームについて、各地から御当選されている皆様に伺ってみたい点があります。
救済給付の財源についてであります。これには国及び地方公共団体、そして労働者を雇用する事業主等が当たるとなっています。地方公共団体の長は、その趣旨を理解し、地域住民から基金への拠出のコンセンサスを得ているのでしょうか。また、事業主等の拠出理由は、お役所からちょうだいをいたしましたペーパーではこういうふうになっています。「石綿は、産業基盤となる施設、設備、機械等に広く使用されてきたものであり、およそ事業活動を営む全ての者が、石綿の使用による経済的利得を受けてきたと考えられる。このため、石綿の使用による経済的利得を受けてきている者全てが、救済費用を負担する。」です。いかがですか。
アスベスト対策は、原因企業はもとより、その危険性を認知しながら早期に全面禁止をしてこなかった政府の対応も含め、健康被害に係る責任の所在をきちんと整理する必要があります。問題の本質を明らかにしなければ、国民の理解も得られません。そして、関係閣僚会議のごとき法的根拠なき省庁の会合ではなく、私どもが主張しております内閣総理大臣を長とするアスベスト対策会議を緊急に立ち上げ、患者やその遺族なども含めた参加ができるアスベスト対策委員会を設置し、真摯にアスベスト対策に取り組む姿勢を国民に示すべきなのであります。
この問題の根源に目を覆い、当面の、しかも不十分な金銭給付による目くらまし的対応だけでは、新たな禍根を後世に残し続けることになるでありましょう。
これほどの歴史的かつ多岐にわたる社会問題に対して、本院において特別委員会の設置を拒否し、合同審査さえも行わないことに大きな驚きを禁じ得ません。環境委員会での短時間審議をさっさと済ませて、アスベスト議論に終止符を打とうとするならば、数々の公害問題の克服に取り組んできた先人の努力は水泡に帰すことになります。ノンアスベスト社会に向けた私たちの取り組みは、今始まったばかりなのであります。(拍手)
本法案には、余りにも多くの問題が含まれています。それらについては、この本会議に引き続いて開催される環境委員会でしっかりとただしてまいりますが、ここでは、総理が答弁席におられませんので、政府を束ねておられる官房長官、政府高官として長いようでありますが、平成五年のころの初心に立ち戻って、そのころは私が与党で安倍さんは野党でありましたが、その初心に戻って、アスベスト問題への基本的な考え方を、官僚の答弁書ではなく、私は個人的には、この問題はビューロクラシーの盲点ともいうべき要因が多いと思っておりますので、短くても構いませんので、官僚答弁書ではなく、御自身の言葉でお答えいただければ幸いでございます。
なお、私自身は、予算委員会メンバーの御配慮で、補正予算を審議している予算委員会でも質疑に立たせていただくようであります。その際は、過去、竹下、宇野、橋本、それぞれの内閣において三回も厚生大臣を歴任された小泉総理を初めとして、アスベスト問題に関する関係閣僚による会合なるものに参加をされていた大臣諸公からも御高説を拝聴させていただくという質問通告を申し上げて、私の持ち時間を終わらせていただきます。
御清聴どうもありがとうございました。 |