民主党 長浜ひろゆき
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長浜博行君:  長浜博行です。
 私は、民主党・無所属クラブ、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合の四会派を代表し、野党提出の公職にある者等による特定の者に利益を得させる目的でのあっせん行為に係る収賄等の処罰に関する法律案に賛成し、与党提出の公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案に反対する討論を行います。(拍手)
 国会議員を初め、およそ政治家たる者は、高度な倫理観、正義感に基づき職務を遂行すべき責務があることは言うまでもありません。選挙によって選ばれた者は、主権者たる国民、住民から、政治に関する厳粛な信託を受けているのであり、国民全体、住民全体の奉仕者として行動すべき責務を負っていることもまた当然であります。特定の者の利益のために行動し、その対価を得るがごときは、政治倫理にもとるものであります。
 ところが、政界の一部には、あっせんは政治家本来の仕事であり、その見返りに金品等を受け取っても構わないという誤った風潮があります。この風潮を断ち切り、いわゆる口きき政治と決別し、政治倫理を確立することが国民から強く求められています。
 我々野党四会派は、与党の穴だらけのざる法では政治腐敗の防止に実効性がないとの国民の怒りの声を真摯に受けとめるものであります。もちろん、新法は、現行収賄罪の問題点を取り除き、政治腐敗を根絶し、政治に対する国民の信頼を回復できるものでなければなりません。このため、与野党の議論を国民にわかりやすく展開し、また、意図的な議論のすれ違いを忌避するためにも、より内容が適切で実効性が高い法案を提出したことは、再三委員会でも御説明をしたとおりであります。
 以下に、野党案と与党案を対比しつつ、野党案にこそ理があること、与党案に非があることをつまびらかにしてまいります。
 第一に、請託の有無の問題であります。
 現行刑法のあっせん収賄は、請託を受けたことを犯罪の構成要件としており、現実には、密室で行われるこの請託を立証することは事実上極めて困難であるため、結果としてほとんど適用されませんでした。そもそも新法制定の議論は、このような現状を踏まえ、請託などの要件を外し、より立件しやすいようにすることを第一としたものであります。
 今回、与党があえてこの要件を残したことは、事実上適用しづらい現行法の問題点を何ら改革しないものと断ぜざるを得ません。野党案では、当然のこととして、構成要件から請託を外しております。
 また、与党案は、対象となる行為について、契約の締結、そして行政処分に限定しております。しかし、これでは調査や企画立案などの政策決定過程への関与は対象外となり、例えば、特定の者の利益擁護のための箇所づけや税制改正、法改正等をあっせんし報酬を得ても、対象外となります。これでは、国民の新法制定に寄せられている期待にこたえることができません。我々の案では、契約の締結、そして行政処分に限定せず、職務に関する行為全般に及んでおります。
 同様に、与党案では、「その権限に基づく影響力を行使して」との表現がありますが、委員会での質疑を通じ、これでは現行法の職務権限と同様に法適用の大きなハードルとなることが明らかになりました。
 御存じのように、現行刑法の収賄罪は、職務権限の有無が要件となっており、政治家の犯罪を認定するときの壁になってきております。したがって、これも請託と同様に要件から外すというのが新法制定議論の発端でありました。当然のことではありますが、野党案ではこのようなあいまいな構成要件は外してあります。
 次に、犯罪の主体の問題であります。
 与党案は、犯罪の主体からわざわざ私設秘書を除いております。時あたかも問題となっている政治家と秘書の関係です。
 委員会の質疑でも、自民党議員は平均十二人から十三人の秘書を擁立していることが、自民党の答弁者によって明らかになりました。秘書の業務は公設、私設で明確に区別できるわけがないし、ましてや、今申し上げました数の点からも、公設秘書は政策秘書も入れて三人ですから、残り十人の私設秘書が担当する業務の比重は高いと言えます。したがいまして、今回の野党案では、処罰対象として私設秘書も含むこととしております。
 また、有力政治家のいわゆる金庫番の多くは私設秘書であるとの指摘もありますが、与党案が私設秘書を外したことは、あえて抜け道をつくったとの世論からも強い批判が寄せられております。(拍手)
 また、与党案は、第三者供賄処罰を法律に明記せず、国会答弁にゆだねてしまっております。しかし、司法の独立また罪刑法定主義に照らしても、国会答弁等の実効性には大きな懸念があります。きちんと明文化すべきことは当然であり、立法の大原則であると考え、野党案ではこれを明記いたしております。
 次に、与党案は、財産上の利益を収受または供与した場合に限っており、要求あるいは約束した未遂罪は対象外となっております。我々の案では、当然のこととしてこの未遂罪をも規定しております。与党がこの未遂罪をあえて忌避したことは、昨年、公明党も含め提出した当時の野党案よりもさらに後退していることと指摘せざるを得ません。
 さらに、与党案は、報酬の範囲を財産上の利益に絞っておりますが、これでは多くの便宜供与等が漏れ落ちる可能性があります。
 以上、申し上げてきたように、与党案は、この新法をでき得る限り甘いものとしようとしている姿勢、骨抜きの法案にしようという本心がありありと見てとれます。
 その象徴が、「この法律の適用に当たっては、公職にある者の政治活動を不当に妨げることのないように留意しなければならない」との条文であります。当たり前のことをあえて書かずにはいられなかった心情、このような法案を嫌々つくったとの本音がにじみ出ています。この恥ずかしい条文こそ、政治倫理の確立に後ろ向きな与党の姿勢を象徴するものであります。
 これに対し、我々の野党案は、国民世論の声を背に、みずからを律し、政治に信頼を再生させる決意にあふれております。
 委員会質疑において、与党委員からは、野党案では政治主導が脅かされるなどといった発言が繰り返されました。野党案に基づいて口きき政治が一掃されることによって官僚優位になる、言葉をかえれば、口きき政治で幅をきかせているのが政治優先だというのでしょうか。だとすれば、現在与党が行っている政治は極めて国民の意に背くものであると言わざるを得ず、それこそ政治改革の理念に根本から反するものであります。
 そもそも、官主導に甘んじているからこそ、政治家が公務員に陳情したり、あっせんしたりするということがはびこっているのではないでしょうか。新法では、このような現状にくさびを打つものでなければならないと考えます。
 多数の不規則発言によって、同僚議員の皆様がこの法案に高い関心を持っておられるということに励まされるわけでありますが、あえて申し上げます。
 与党議員各位、もし野党案が制定されれば、各位の政治活動が立ち行かなくなるのでしょうか。言葉をかえれば、これまでの政治活動では野党案に抵触するもの、つまり口きき政治でわいろを得ている実態がそれほどまでに蔓延しているのでしょうか。一体何を恐れているのですか。国民は厳しく監視しております。
 また、本件は、政治家みずからの倫理確立の問題であり、本来は、与野党の垣根を超えて真摯に議論を重ねて、よりよい成案を得るべきであります。この視点から、我々四会派は、委員会審議と並行し、与党に修正協議を呼びかけてまいりましたが、与党はこれを拒否しました。抜け道をちょっとでもふさぐ改革はまかりならぬという与党の旧態依然たる姿を国民は決して見逃すことはありません。
 改めて与党案を顧みれば、一体現行法と比べてどこが厳しくなったのか、何のためにわざわざ政治倫理の確立を目的とする特別委員会で議論を続けたのかとの素朴な疑問が生じます。審議を重ねていくにつれ、与党の法案はざるですらない、国民の政治不信の元凶である金権腐敗体質を温存し続ける、まさに底抜け法案であることが明らかになりました。(拍手)
 以上申し上げてまいりましたように、国民が期待し望んでいるものはどちらの法案にあるか、はっきりしています。そして、不完全な法案では、国民の怒り、憤りが募るばかりであります。二十世紀最後の段階で国会に議席を持つ政治家の一人として、本法案の持つ保護法益である政治公務員の廉潔性及びこれに対する国民の信頼の持つ意味を深くかみしめながら、二十一世紀の子供たちから笑われることがないように、与党も野党もなく、政治家たるもの、より厳しく身を処する方向で、勇気を出して個々人の判断で採決に臨んでいただきたいと思います。
 このことを最後に申し上げ、公職にある者等による特定の者に利益を得させる目的でのあっせん行為に係る収賄等の処罰に関する法律案に賛成し、公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律案に反対する討論を終わります。(拍手)
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